コンディションへの気づきを高める価値

躁うつの方がカウンセリングをとおして、自分自身でコンディションに対する気づきを高めていくことの価値をお話します。

うつは自我違和的、躁は自我親和的

  うつの時期

人はうつ状態の時は不快であり違和感を覚えるので(自我違和的)、容易にうつであることを自覚できます。

うつの方が、気分が安定している状態からうつ状態になるよりも、躁うつの方が、気分が高揚している状態からうつ状態になる時の方が、その気分の落差がより激しいため、一層苦しさを覚えるかもしれません。

このように、うつ状態であることを拒絶したくなるのは自然なことであるとも言えます。

  躁の時期

また一方、躁状態の時は高揚感の心地よさを“調子が良い”と意識が誤解してしまい、違和感を感じないまま(自我親和的)の場合があります。

躁状態の時には高揚感を伴い活動性があがっているため、活動することを希求し、心身を休めるとかきちんと睡眠をとるということを拒否してしまいがちです。

違和感を感じることなく、そのまま過活動の状態を続けてしまうと、慎重さを欠いた行動からあとで後悔をすることになったり、心身のエネルギーを使い切って急激にうつ状態に遷移する可能性があります。

また、先のとおりに躁状態からうつ状態に遷移した時にとても苦しい感覚を覚えることで、うつになることへの拒絶感から、躁状態が持続することを心のどこかが求めてしまいます。

そうすると一層、休息するよりも活動することを選択し、心身のエネルギーが枯渇していくといった循環になっていきます。

気づきの力が自分を守る

こうしたことから、うつ状態の時と同様もしくはそれ以上に、躁状態の時にいかに自分自身ならびに周囲の方が早期にキャッチし、ケアしていく視点を向けていくかは大切なことです。早期にキャッチして、適切にケアすることによって、気分の波はまた速やかに安定の方向に向かうことでしょう。

周囲の信頼出来る人を頼って、自分の気分が普段よりも上がっている時にそれを教えてもらうように依頼しておくことも大切です。そのためには人と信頼関係を気づき、関係を維持する力を磨いていくことが役に立ちます。

また、自分でも内面に気持ちを向けて、安定している時のベースラインの気分よりも、上がっている時には早期にキャッチできる感受性を養っていきましょう。自分自身への気づきの力を養うことは、自分の身を守るために有効であり大切なことであるといえます。

心の柔軟性、心の成長

自分自身への気づきの力を育んでいくことや、環境面とうまく関わっていける心の柔軟性を育んでいくことなどに取り組んでいく行為そのものが、心の成長に繋がっていくのだと思います。

そして、こうした自分自身について丁寧に探索し理解していく先には、ご自分の人生に対するポジティブな意味や価値を見いすことに繋がっていくのではないでしょうか。

ここでも「人生に起きてくることには意味がある」という価値観を思い出します。今こうして起きていることには、どのような意味があるのでしょう。その意味を理解し、受け入れて、これからの自分の生きていく中に統合していく。それは、あなたのこれからの人生をより豊かなものにしていくのかもしれません。