うつになった方へのお話

精神科病院で常勤心理職として何年も臨床の経験してきた臨床心理士である私が、うつとその回復についてのポイントを、できるだけ分かりやすくお話します。


うつの状態とは

近年、ゆとりのない社会や行きすぎた個人主義によるつながりの欠如という時代背景もあり、うつで悩んでいる方が増えているように感じます。そしてうつというものが次第に社会的にも認知されてきました。かつてのように「怠けている」とか「精神力が弱い」といわれるような誤った考えはかなり払拭されてきたように思います。それでもまだ、うつは自分と関係の無いことと思っている方も多いのではないでしょうか。

抑うつの状態は誰にでも起こりうるものです。(そして、いわゆる純粋のうつ病ではなくても抑うつ状態を呈する場合もあり、抑うつは多様で奥深いものなのです。)また、医療にかかるほどのうつ状態は、普段の私たちが普通感覚で感じる単なる“気分の滅入り”とは次元が違うほどの心身両面に渡る異変であると言えます。

持続的な抑うつ気分のみならず、寝ていても途中で何回も目が覚めたり、体重が急速に減り始めたり、動きの少ない能面のような表情になったり、人との関わりを避けたくなったりといった、自律神経系の乱れや行動面での変容など、気分以外にも多様な変化が起こります。これらは抑うつな状態のまま、もとに戻らなくなっている脳の状態が引きおこしている変化なのです。

うつの方に向けたお話 (2)につづく)